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中先代の乱(1)〜勃発までの経緯

建武2年(1335)7月に起こった中先代の乱は、北条時行(高時の遺児)を擁立した北条家遺臣による反乱です。中先代とは、北条氏を先代の支配者、足利氏を当代とすると、その間に一時的ではあるものの時行が鎌倉を制圧したことから呼ばれました。
乱そのものは20日ほどで鎮圧されましたが、この戦いにより二つの重要な事件が誘発され、以降の南北朝動乱の流れに大きな影響を与えたのです。

◆父と兄との別れ
元弘3年/正慶2年(1333)の5月28日、新田義貞率いる大軍に総攻撃を受け、北条一族数百名は東勝寺で自害しましたが、高時の2人の息子・邦時と亀寿丸はひそかに鎌倉を脱出します。兄の邦時は、母方の伯父である五大院宗繁に託されましたが、宗繁が裏切って新田軍に密告したため捕えられ、わずか9歳で処刑されてしまいました。
いっぽう亀寿丸は、高時の弟・北条泰家の計らいで、家臣の諏訪盛高に護られ無事に信濃へ落ち延びました。信濃は北条氏が代々守護として支配した国であり、また諏訪社の神官である諏訪氏は北条譜代の家臣だったのです。当主の諏訪頼重に匿われた亀寿丸はこの地で元服し、相模次郎時行と名乗りました。

◆相次ぐ北条残党の反乱
鎌倉幕府滅亡後も、北条氏の一族・旧臣は断続的に各地で兵を挙げ、新政権への反抗を試みていました。
ひとつずつ詳細を書くと長くなるため、乱の起こった場所と年月、主な首謀者のみ記しておきます。

・奥州北部(1333年冬〜1335年1月) 名越時如、安達高景
・南関東(1334年3月、8月) 3月=渋谷氏、本間氏 8月=葛西氏、江戸氏
・北九州(1334年1月〜7月) 規矩(きく)高政、糸田貞義
・日向(1334年7月) 遠江掃部助三郎、同四郎
・越後(1334年7月) 小泉持長、大河将長
・紀州(1334年10月〜1335年1月) 六十谷(むそだに)定尚
・長門(1335年1月) 北条上野四郎
・伊予(1335年2月〜5月) 赤橋重時

これらの挙兵には、北条一族・家人の他に地元の豪族も参加している場合があり、建武の新政への強い不満が読み取れます。特に奥州・紀州・北九州はかなりの規模の反乱でしたが(紀州では楠木正成が討伐に赴いている)、結局全て鎮圧されています。
◆天皇暗殺計画とその顛末
さて北条泰家は、甥を逃した後に自らも鎌倉を脱出して奥州へ落ち延び、その後京へやって来て権大納言・西園寺公宗の邸に潜伏していました。
西園寺家は承久の乱以降、関東申次(朝廷と幕府間の連絡や意見調整を行う役職)を世襲していました。しかし幕府よりの立場をとっていたのが仇となり、建武の新政開始以降は政権から除外され、完全に立場を失墜していたのです。
こうした境遇に不満を募らせていた公宗と、北条氏の再興を目指す泰家は結託し、「後醍醐天皇を西園寺家の山荘に招いて謀殺、持明院統の後伏見法皇を奉じ新帝とする。これと呼応して北条時行が甲斐信濃、名越時兼が北陸において兵を挙げ、京都と鎌倉を奪回し現政権を覆す」という大胆な計画を立てました。

ところが建武2年(1335)6月22日、公宗の異母弟である公重の密告で計画は露見。公宗は協力者と共に逮捕されました。どうもこの兄弟は、家督を巡って以前から仲が悪かったようです。そして西園寺公宗は、出雲国へ配流される途中で名和長年により斬殺されました。
北条泰家は逃げ延びて、一説には信濃で時行と共に挙兵したとも、南朝方として各地で戦ったとも言われてますが、その後の彼の行方ははっきりわかっていません。
<→(2)に続く

*参考書籍=・中公文庫 日本の歴史<9> 南北朝の動乱
      ・講談社 日本の歴史<11> 太平記の時代

*関連記事=・幕政改革の挫折 ー 北条貞時
      ・父の遺訓を守って ー 楠木正行
      ・小説『鎌倉擾乱』

Comment

2008.10.06 Mon 20:02  |  わーい♪

影千代さん、中先代の乱を書いて下さってありがとうございます〜〜♪
メッチャ嬉しいです。

ちょうど尊氏の失われた左手の話題もあるのでタイムリーな話題ですよね。
続きを楽しみにしています。

  • #VD0bvtlU
  • jasmintea
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2008.10.07 Tue 22:32  |  >jasminteaさん

今自分の中でプチ南北朝ブーム?なので書いてみましたが、喜んでいただけて嬉しいです♪
ほんとは時行より泰家に興味があるんですけど、わからない事だらけで書きようがないので…(笑)

尊氏像の件、左手首だけ盗むって変な泥棒ですよね〜。
まあ悪質ないたずらの可能性が高そうですが、無事に解決して欲しいです。

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