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今日の戯言・ヒーロー像の変遷

「好きな歴史上の人物」というアンケートで必ずといっていいほど上位を占めるのが、織田信長と坂本龍馬の2人ですよね。では彼らは昔から常に断トツの人気を誇っていたのかというと、歴史人物といえどもその人気には、やはり時代により移り変わりがあるようです。

以前、海音寺潮五郎氏の『乱世の英雄』というエッセイ集を読んだ時に、こんな一節がありました。

「一九○○年前後に生まれた人々がその少年時代に豪傑とした人物と、その以後に生まれた人々の考える豪傑とは違う。前者が少年時代豪傑としたのは、鎮西八郎為朝、または加藤清正であった。後者の豪傑は、立川文庫の影響によって、真田十勇士であり、後藤又兵衛であり、塙団右衛門である。さらにその以後の人になると、大衆文学と映画の影響によって、丹下左膳であり、鞍馬天狗であり、宮本武蔵であるようだ。」
(註・海音寺氏自身は明治34年(1901)生まれ)


いくら約100年前のこととはいえ、源為朝や加藤清正が少年たちの英雄だったというのが、現代の感覚からはどうもピンとこないんですよねー。まあ清正は虎退治の話などで、江戸時代を通じて人気があったようだし(近藤勇も清正のファンだったんですよ)、為朝は『椿説弓張月』(曲亭馬琴作)の影響が大だと思うので、この頃はまだ江戸期の嗜好が色濃く残ってたのかな?
ちなみに立川文庫とは、大正時代に爆発的人気を博した子供向けの講談本シリーズのこと。そして大正末から昭和にかけての歴史上の英雄像は、小説に加えてラジオや映画の影響も大きくなっていきます。

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